「負のスパイラルを断ち切ろう」。新型コロナウイルスの拡大で、過剰な不安や感染者らへの偏見、差別が広がっている。日本赤十字社(東京)はそれらも一種の感染症と位置付け、まん延を防ごうとリーフレットを作成してホームページで公表している。
 作成したのは、国内外で災害医療や感染症対策に従事した臨床心理士や医師ら。クルーズ船の感染者に対応した医師らの子供が保育園登園を拒否されたり、自治体による外出自粛要請で食料品の買いだめが起きたりした状況に危機感を覚えたという。
 リーフレットは新型ウイルスについて、「病気」だけでなく「不安、恐れ」「偏見、差別」の三つの感染症をもたらすと指摘する。相互につながっており、未知のウイルスであることから不安が生じ、それが感染者や医療関係者への差別を招くと警告。さらに、自らが差別を受ける恐れから受診をためらい、結果的に病気が広がるとし、イラスト付きで分かりやすく解説している。
 こうした負の連鎖はアフリカで流行したエボラ出血熱などでも起きたという。断ち切るには不確かな情報に振り回されないようにし、事態に対応する全ての人に敬意を持つことなどが重要だとしている。
 作成に関わった日赤災害医療統括監の丸山嘉一医師は「ウイルスは心の中にも感染する。特効薬やワクチンはないので自分で連鎖を断ち切るしかない。立ち止まって考えるため、読んでもらえれば」と呼び掛けた。 (C)時事通信社