新型コロナウイルスの感染リスクを高める密閉、密集、密接の「三つの密」を避けるため、通夜や葬儀の参列者が減り、少人数の家族葬が増える動きが広がっている。松山市では参列者の集団感染が確認され、葬儀会場ではさまざまな予防策が講じられる中、「最期の別れ」の場でも自粛ムードが高まっている。
 関西や首都圏で年間1万1000件以上の葬儀を扱う葬儀会社の公益社(大阪市)によると、3月から参列者が減り、少人数の家族葬が増加。通夜後の会食を取りやめ、料理を持ち帰る人が増えた。葬儀会場では、座席の間隔を空け、入り口に消毒液を置くなどの予防策を講じている。
 「故人の尊厳を守り、遺族に寄り添う」。同社の担当者は葬儀の仕事を語る。「一度限りのことで、残された方の今後の人生にとっても大事だ。最期のお別れを悔いなくしてもらえるよう、できる限りのことを尽くしている」と苦心をにじませた。
 感染確認によって、遺族が故人の最期の姿を見ることがかなわないこともある。厚生労働省は感染者の遺体を扱う際、直接触れることができず体液などを漏らさない「非透過性納体袋」に収容し密封することが望ましいと、関連業種向けの「Q&A」で説明している。
 同社では感染拡大後、葬儀の依頼を受ける際に、故人の死因や遺族との濃厚接触の有無を尋ねるようになった。納体袋への収容から納棺までを病院側でやってもらえない場合、用意した防護服を従業員に着用させることにしている。
 同社など複数の葬儀会社や葬儀場によると、葬儀の数自体は減っていないが、社葬やお別れの会、法事のキャンセルが相次いでいる。 (C)時事通信社