新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、各地の保健所が電話相談や感染経路の調査、濃厚接触者の健康管理などに忙殺されている。疲弊する職員からは「患者発生に対応が追い付いていない」と悲鳴が上がる。入院ベッドの確保やクラスター(感染者集団)の解明を担う保健所の業務量が限界を超えれば、医療崩壊やさらなる感染拡大を招く恐れがある。
 「感染疑いの人が急増しており、相談窓口に電話があっても病院ですぐ診てもらえないケースが出ている」。東京都大田区保健所の担当者は、医療体制の逼迫(ひっぱく)に危機感を表す。
 同保健所では1日約200件の電話相談に15人ほどで対応する。終電で帰宅しても、深夜に携帯が鳴れば対応せざるを得ず、職員の疲労は限界に達しつつある。管内に羽田空港を抱え、帰国者も含めた健康観察対象者は100人を超える。担当者は「このままの態勢がいつまで続くのか」と不安を口にした。
 札幌市保健所では4月に入り、1日の相談件数が700件を超える。有症者向け窓口と一般窓口に加え、救急車を呼ぶか迷った際の電話窓口「#7119」も使って対応している。
 感染者の病院搬送や接触者調査など、業務は多岐にわたる。同保健所の山口亮感染症担当部長は「防護服を着て公用車を2時間運転したが、とてもきつかった。ライブバーで発生したクラスターでは常連客が互いに本名を知らないケースが多く、濃厚接触者特定が難航した」と振り返る。
 北海道の感染者は減少傾向にあるが、山口部長は「3月下旬以降、感染経路が分からない患者が増えてきている」と危ぶむ。人工呼吸器などの確保を進めており、「急増してからでは遅い。今のうちに備えておきたい」と話した。
 東京都港区の保健所は取材に、「担当者が多忙を極めている」との理由で文書で回答。「職員が休めず、毎日深夜まで残業している」と厳しい現状を説明し、「医療崩壊の危険性に誰よりも危機感を持っている。命より大切なものはない」と訴え、感染予防策の徹底を改めて呼び掛けた。 (C)時事通信社