新型コロナウイルス感染拡大を受けた政府の緊急経済対策に、所得が急減した世帯に現金30万円を給付する支援策が盛り込まれた。ただ、住民税非課税世帯の収入を基準としたため支給対象が限られ、専門家からは「必要な人に行き渡らない」と批判の声も。国民の不安払拭(ふっしょく)には程遠いと言えそうだ。
 給付は、2~6月のいずれかの月収をそれ以前と比べ、(1)年収換算で住民税の非課税水準まで減少(2)収入が50%以上減り、年収換算で住民税非課税水準の2倍以下―となる世帯が対象。
 上級ファイナンシャルプランナーの前田菜緒氏によると、住民税が課されない水準は東京23区の2人世帯(世帯主と扶養家族1人)の会社員で年収156万円以下。勤め先の業績悪化でこの水準まで収入が落ち込めば30万円が支給される。
 ただ、前田氏は「制度は世帯主の収入しか対象にしておらず、共働き家庭で妻の収入がなくなった場合を考慮していない」と制度の不備を指摘。配偶者の収入が激減し、生計の維持が困難になっても国の支援を得られない可能性が出てくるため、「世帯単位ではなく、個人の収入を基準にすべきだ」と訴える。
 ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏も「国民全員が被害を受けているのに、一部しか支給されない」と手厳しい。全国民に一律給付し、高所得層は年末調整時に相殺する方法もあると話す。
 5月の支給が政府の目標だが、ニッセイ基礎研究所の久我尚子主任研究員は「目先の家賃や光熱費に困る家庭があるのに迅速さに欠ける」と政策のスピード感の欠如を問題視する。 (C)時事通信社