【バンコク時事】新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、非常事態宣言が発動され、経済活動が停滞しているタイで、料理宅配サービスが活況を呈している。宅配業者は収益の伸びに期待する一方、「苦境にある飲食店を支えたい」と意気込んでいる。
 「以前は10回未満だった1日の配達が今は20回近い」。バイクで料理を届けるサクチャイさん(36)は「収入も大幅に増えた」と話す。タイでは3月下旬から飲食店での食事が禁じられ、宅配利用客が急増。配車大手グラブによると、料理宅配の売上高は3割伸びた。
 一方で、来店客がいなくなり、収益確保に苦心する飲食店は宅配に活路を見いだそうとしており、グラブには通常の3倍の新規登録申し込みが寄せられている。グラブやバイク配車大手ゲットはこうした飲食店がすぐに宅配に参加できるよう手続きを簡素化した。
 グラブのタリン代表は「飲食業界を破綻させないよう新たな収入源を提供している」と語る。ゲットのピンヤー最高経営責任者(CEO)は「飲食店支援で積極的な役割を果たしたい」と意欲を見せた。
 需要急増に対応するため、グラブは料理配達員に配車サービスの運転手を加えた。客の減少に苦しむ配車サービスの運転手に、新たな収入の道を与える狙いもある。
 料理宅配では客と配達員の間の感染が懸念されている。グラブとゲットは配達員の健康管理を徹底するほか、玄関先などの指定場所に料理を置く「置き配」の活用で感染防止に努めている。 (C)時事通信社