【ブリュッセル時事】新型コロナウイルスの感染拡大ペースに鈍化の兆しも見られる中、欧州連合(EU)各国は外出禁止や店舗休業など厳しい制限措置を解除する「出口戦略」を模索し始めた。欧州委員会は協調を訴えるが、すでに一部が制限緩和にかじを切った一方で、当面の延長を決める国もあり、足並みの乱れへの懸念が高まっている。
 感染の影響が比較的抑えられているオーストリアは6日、生活必需品以外の店舗も14日から段階的に営業を認めると発表。チェコは14日から出国禁止措置を緩和するほか、デンマークも15日からの一部学校再開を打ち出した。
 この動きを受け欧州委は7日、「協調的に実施することが重要だ」(報道官)とEU共通の「出口戦略」の指針を8日に公表する方針を示した。3月上旬以降、各国がバラバラに制限措置を導入し物流停滞などの混乱を招いた反省が背景だ。
 しかし、指針公表には危機収束との油断を生むと恐れた加盟国が時期尚早だと反対。わずか数時間後に見送りを余儀なくされた。報道官は方針撤回について「加盟国ごとに局面が異なる」と説明。「解除すべきでない国に解除すべきだとのメッセージは送らない」と釈明した。
 一方、死者数が欧州最多のイタリアは10日、5月3日までの制限措置延長を発表。コンテ首相は「3日以降に慎重に、徐々に再開できることを望む」と語るが、見通しはいまだ不透明だ。スペインも緊急事態宣言を今月26日まで再延長する。
 さらに死者数が急増し1万人を超えたフランスでは、パリ市が日中のジョギングを禁じるなど逆に制限を強化。マクロン大統領は現在15日までの封じ込め策延長を表明する見通しだ。
 EUは23日に開くテレビ首脳会議で出口戦略も議論する予定だが、国ごとの状況の差は大きく、協調のハードルは高まっている。 (C)時事通信社