内閣府は、災害時に海上で医療活動を行う「病院船」の活用について、調査検討に着手する。東日本大震災を踏まえ、一度調査した経緯があるが、高額な建造費などを理由に否定的な見解を示していた。今回、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、導入を求める声が高まったのを踏まえ、再び検討することを決定。来年3月末までの報告書作成を目指す。
 病院船をめぐっては、新型コロナ感染拡大を受け、加藤勝信厚生労働相が2月の衆院予算委員会で「加速的に検討していく必要がある」と答弁。国会でも導入を推進する超党派の議員連盟が発足したほか、感染者に対応する米国の病院船が報じられ注目されていた。
 調査は、国土交通、厚労、防衛各省が連携して実施。病院船に必要な機能や災害時の医療スタッフ確保方法、平時の維持管理方法などを探る。武田良太防災担当相は今月10日の会見で「真剣に研究し、国民生命の安全に資するものにしていく強い思いがある」と話した。
 内閣府が2013年に取りまとめた病院船の調査報告書では▽1隻当たりの建造費が最大350億円、維持運営費が年間最大25億円と高額▽医療スタッフの迅速かつ長期的な確保が困難▽災害直後は寄港できない▽民間資金活用は困難―などを列挙し、否定的だった。
 一方でこの報告書は、新たに病院船を建造するのではなく自衛艦など既存船舶を活用することが「検討に最も値する」と言及。13年から自衛艦や民間フェリーを使った訓練が定期的に行われており、内閣府はこうした現状も踏まえて再度調査研究に臨む方針だ。 (C)時事通信社