新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国会でも密閉・密集・密接の「3密」回避が課題となっている。一部には、オンラインを活用した「遠隔投票」による採決実現を求める意見が出ているが、機運は高まっていない。憲法が議員の国会への「出席」を前提としていることが背景にある。
 自民党若手議員は9日、衆院議院運営委員会の高木毅委員長(自民)と面会し、「ネット中継視聴やウェブ会議への参加も出席と見なす」ことなどを求める国会改革を提言。オンラインによる採決実現も掲げた。高木氏は「皆さんの思いはもっとも。できるだけの対処はしたい」と応じた。
 しかし、実際にはハードルが高い。日本国憲法には本会議開会に「総議員の3分の1以上の出席」を求める規定があるためだ。自民党中堅は「ここで憲法改正と言い出せば悪のりになる」と指摘。採決に関しては不正や間違いの防止、セキュリティー確保などの課題もあり、立憲民主党中堅が「システム整備に費用がかかる」と語るなど、与野党とも腰は重い。
 重度障害を持つれいわ新選組の舩後靖彦参院議員にとって感染リスクの低減はより切迫した問題だ。舩後氏は先月18日の参院文教科学委員会でIT技術活用による遠隔からの審議参加を要望したが、実現はしていない。感染への危機感から舩後氏は一時、国会出席を見合わせた経緯もあり、「災害など緊急事態で一カ所に集まることが難しい状況になった際は、(遠隔審議は)誰にとっても有用だ」と訴えている。
 海外では電子投票に踏み切った議会もある。ブラジルでは感染が広がる中、上下両院で電子議会を導入。ビデオ会議で討論し、スマートフォンのアプリなどを使って投票を行うもので、実際に採決も行われた。
 一方、安倍晋三首相による7日の緊急事態宣言の発令を受け、衆院では密集を避けるために本会議への出席者を定足数ぎりぎりまで減らし、それ以外の議員は採決前後に本会議場に入ることを申し合わせた。議場に比較して議員数が少ない参院では議員が間隔を空けて座ることを決定した。しかし、いずれも抜本対策とは言い難く、テレワークが進む民間と比べて動きが鈍いのが実情だ。 (C)時事通信社