【ニューヨーク時事】「周囲を見回したら、ここは米国だった」。高層ビルが立ち並ぶニューヨークのマンハッタンで「市民の憩いの場」となってきたセントラルパークに3月末、68の病床を持つ野営病院が開設された。発展途上国での活動経験がある看護師クリステン・ダークさんは、多忙を極める新型コロナウイルスの治療現場が米国にあるという現実にぼうぜんとなる。
 時事通信の電話取材に9日、語った。野営病院を地元の病院と協力して運営するのは、キリスト教系慈善団体サマリタンズ・パース。紛争地や感染症や災害に見舞われた発展途上国などで活動している。
 南部テキサス州を活動拠点とするダークさんは、バングラデシュでコレラ患者の対応に当たった経験がある。テントの中の緊張感は変わらない。しかし「最大の違いはテントの外に出て、周囲を見回すとここは米国で、それは今まで直面したことがない現実だ」と強調した。
 野営病院とはいえ、集中治療室(ICU)もある。ダークさんはICU担当だ。9日時点で52人が入院し、うち9人がICUにいる。最も若い患者は26歳だ。9日までに3人が死亡した。
 感染防止のため患者の見舞いは禁止され「大変なのは患者の家族とのやりとり」と話す。「患者自身で電話できる人もいるが(重症で)できない人もいる」と語る。深刻な患者の家族には早くから、病状が深刻で回復する可能性が低いことを伝えるようにしているという。
 日本に対しても「この病気の深刻さを見て言いたいのは、深刻に捉えてほしいということだ。あなたにリスクがなくても、隣にいる人の死につながるかもしれない」と強調した。十分な医療従事者を確保し、感染から身を守る個人防護具(PPE)を準備しておく必要性も訴えた。 (C)時事通信社