安倍晋三首相が新型コロナウイルス対策として打ち出し、注目を集めている全世帯への布製マスク2枚配布。週明け以降、各家庭に届くとされるが、どのような仕組みなのか。聞き慣れない大規模な配達システムを探った。
 日本郵便調査・広報部によると、政府のマスク配布は同社の「タウンプラス」と呼ばれるサービスを活用する。一定のエリア内で、登録された全住所のポストに広告物などを配る際に使われることが多い。
 住所登録のためには、移り住んだ地域の郵便局に転居届を提出する必要がある。転居届は年700万~800万件出されているが、手続きをしていない住所にはマスクも配達されない。
 同社が把握している全国の住所データは約6000万戸。空き家もあるとみられ、ポストに郵便物がたまっているなど長期の不在が疑われる場合、実際に住んでいるか大家や管理人に確認するという。ただ、最近空き家となった住宅では配達員が気付かないケースもあるとみられ、同部の担当者は「空き家への配布もないとは言えない」と説明する。
 届けるのは全国1100局の配達員で、人数は10万人を超える。各戸のポストに入れるため、実際に住人が手に取ったかまでは確認していない。盗難の恐れについて、担当者は「最近のポストは奥行きもあり、いったん入れた郵便物が取られることはないと思う」と話す。
 総額466億円に上る税金が投入される一律のマスク配布事業には、与野党から疑問の声が上がり、「使い道の間違い」「ニーズとミスマッチ」などの指摘も出ている。各地の配達員は「重荷」を背負わされることになりそうだ。 (C)時事通信社