新型コロナウイルスの感染者が急増する都市部から地方へ逃れる「コロナ疎開」が問題視されている。ネット上では緊急事態宣言の発令前後に「東京脱出」というキーワードが話題になり、都市部からの流入が増えた別荘地では戸惑いの声が上がる。
 秋田県では今月2日、東京都内から実家に帰省中だった10代女性の感染が発覚し、看護助手の母親も感染していたことが判明した。佐賀県でも、都内から帰省中に陽性と判明した30代女性の母親と祖母がそれぞれ感染したケースがあり、同様の例は各地で相次ぐ。
 「蔓延(まんえん)する首都圏から比較的穏やかな長野県で過ごしたいとお考えかもしれませんが、自粛要請の趣旨をもう一度考えて」。ツイッターでこう呼び掛け、いち早く「コロナ疎開」の動きにくぎを刺したのは長野県佐久市の柳田清二市長だ。隣接する軽井沢町は全国有数の別荘地で、緊急事態宣言前から都市部の住民の流入が目立っていた。
 軽井沢観光協会の工藤朝美事務局長は「軽井沢は別荘族のおかげで生活できている人も多く、『来ないで』とも『ウエルカム』とも言えない。別荘も自宅なので、不要不急の外出とも言いにくい」と複雑な胸中を明かした。藤巻進町長も「別荘の方たちに来るなとは絶対に申し上げるつもりはない」と言葉を濁す。
 公衆衛生学が専門の斎藤玲子・新潟大教授は、「スペインでも首都から別荘地への避難が感染を広めた。医療が脆弱(ぜいじゃく)な地域で集団感染が起きれば、医療崩壊は免れない」と警告。「地域で濃淡をつけて行動制限を呼び掛けると、感染急増地域からの避難を招く。フランスのように地域差を設けず、全国一律にするのも効果的かもしれない」と話した。 (C)時事通信社