山積みにされた使用済みのシーツ、スマートフォンの画面越しの診察―。新型コロナウイルス感染者の治療に当たる大阪府豊中市の病院が14日までに、患者受け入れから約2カ月間の診察経過や院内対策をまとめた報告書を公表した。報告内容からは、院内感染に細心の注意を払いながら診察に追われる医療スタッフの姿が浮かび上がる。
 報告書は、市立豊中病院が日本感染症学会のホームページに掲載した。それによると、同病院は第二種感染症指定医療機関として14床の感染症病棟を備えるが、感染症専門医はおらず、これまで患者受け入れは年間数例で職員も対応に習熟していなかった。
 集団感染が起きたクルーズ船で陽性となった外国人を受け入れた2月中旬以降、患者が次々と入院。無線通信WiFi(ワイファイ)を急きょ設置し、簡単な診察や体調確認などは患者のスマホを用い、LINEなど通信アプリを通じて行った。入院手続きなどの書類のやりとりや診察を極力省略したことで、マスクや防護服の節約につながった。
 病床不足を受けた府の要請に応じ、一般病棟の個室を転用して20床に拡充した。各病室では、使い捨て容器で食事を提供し、衣類は患者に手洗いしてもらう。一方、使用済みのシーツは業者に受け取りを拒まれ、病棟の一角で山積みになっている。X線の診断装置はポリ袋で二重に包んで使用している。
 PCR検査体制の問題点も指摘。保健所ごとに入院患者の検体を回収して検査機関に搬送し、結果の連絡が各保健所からあるため、職員が電話対応に追われているという。
 同病院は「行政や学会のガイドラインに記載がない問題点も多い。診察の工夫を共有することで、医療者の不安と負担の軽減につなげてほしい」と訴えている。 (C)時事通信社