新型コロナウイルスの感染が病院などで広がる事例が相次いでいる。地域医療の中核となる病院も多く、同ウイルス以外の病気の治療にも影響が及んでいる。
 東京都台東区の「永寿総合病院」では、3月20日ごろから患者や看護師に発熱などの症状が出始め、その後新型コロナウイルスの陽性反応が確認された。都によると、14日時点で患者や職員ら187人が感染し、少なくとも24人が死亡。外来診療を休止した。同病院から転院した患者を通じ、慶応大病院にも感染が広がった。
 台東区によると、永寿総合病院は区内最大の病床数がある地域医療の中核。「高度な検査の実施先として診療所からよく紹介される病院で、影響が出ている」(区幹部)という。区は早期の体制回復に向けて医療関係者らと協議会を設置し、支援策の検討を進める。
 中野江古田病院(中野区)でも、患者や医師らの集団感染が判明。ほかに、福井市や神戸市、福岡市などでも院内感染が疑われる事例が起きている。
 感染防止策を講じているはずの病院で、なぜ感染が広がるのか。院内感染が起きた国立病院機構大分医療センター(大分市)では、ドアノブなどの不特定多数が触れる部分に加え、スタッフがマスクを外しがちな休憩室や電子カルテなどの医療機器から感染した可能性が指摘された。大分県関係者は「対策はしていたが、完全に防御するのは難しかった」と振り返る。
 院内感染の防止について、聖マリアンナ医科大の国島広之教授(感染症学)は手指消毒やマスク着用、換気などの基本的な対策が不可欠と指摘。新型コロナウイルスは症状が出ていない患者から感染する可能性があるため、「知らぬ間に感染することもあり、ゼロにするのは難しい」として、拡大を防ぐ対策も必要と話した。
 病院の少ない地域で院内感染が起きた場合については、「地域医療の維持とバランスを取って診療再開する必要がある」。部分的な診療再開や外来を自粛する期間の短縮などの検討が必要とした上で、社会もそれを容認する意識が必要だと話した。 (C)時事通信社