新型コロナウイルス感染症の回復期にある患者から採取した血漿(けっしょう)を中国武漢市の重症患者10人に投与したところ、全員が3日以内に症状の改善を示したと武漢生物製品研究所などの研究チームが16日までに米科学アカデミー紀要電子版に発表した。目立った副作用はなく、3人が退院した。
 血漿は血液から赤血球や白血球などを除いた成分で、さらに凝固成分を除いたのが血清。回復した患者の血漿や血清にはウイルスに対する免疫抗体が含まれている。この治療法は血清療法と呼ばれ、重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)の患者でも試みられた。
 研究チームは血漿を投与する最適な量や時期を探る必要があると指摘。カナダのマックマスター大などは同国で1000人規模の臨床試験を行うと発表したほか、米シカゴ大も臨床試験を行う。免疫抗体を人工的に生産して使う「抗体医薬品」の研究開発も国際的に進められている。
 10人は武漢市の3病院に入院した患者で、インフルエンザやC型肝炎用の抗ウイルス薬などによる治療を行ったが、重症だった。年齢は34~78歳で、男性6人、女性4人。発熱やせきなどの症状が出てから10~20日目に、回復した患者の血漿200ミリリットルを1回投与した。
 その結果、投与前に血液からウイルスのリボ核酸(RNA)を検出していた7人は、検出できなくなった。投与を受けた患者の血清に含まれる抗体の量は、検査できた9人のうち4人は投与前と変わらなかったが、5人は大幅に増えた。 (C)時事通信社