【ベルリン時事】世界保健機関(WHO)は新型コロナウイルス感染拡大が明るみに出た1月以降、常に批判にさらされてきた。ただ、トランプ米大統領が表明した資金拠出停止という荒療治は、逆にWHOを機能不全に追い込むリスクを高め、医療システムが整わない地域に重大な影響をもたらす恐れがある。
 WHOの対応に不備が目立つのは事実だ。感染拡大の当初は「人から人の感染は限定的」と説明。1月に国際的な緊急事態を宣言した際は、渡航制限を控えるよう求めたが、ほとんどの国が事実上無視し、何らかの制限を導入した。3月の「パンデミック(世界的流行)」表明は、中国の習近平国家主席が国内での収束宣言をした翌日。既に110を超える国・地域で12万人超の感染者が出た段階だった。
 ただ、拠出停止は状況改善には逆効果だとの指摘が多い。ドイツのレトゲン下院外交委員長はツイッターで「WHOの中国との強い関係」を懸念していると理解を示しつつも、拠出停止は「自力救済ができない国」への打撃が大きくなると警告した。
 2018年には、WHOの支出額のほぼ半分に当たる11億5000万ドル(約1240億円)超が、アフリカと中東諸国に投入された。欧州諸国など先進国でさえ医療崩壊すれば多数の死者が出ているだけに、途上国や紛争地域支援のための財源確保は必須。世界最大の米国の「年4億~5億ドル」(トランプ大統領)の拠出額は極めて重要だ。
 WHOのテドロス事務局長は15日、自身の働きについては後日審判を受けると説明しつつ、今は新型ウイルスへの対応に「集中したい」と表明。米国を含む各国に資金協力を求めた。 (C)時事通信社