安倍晋三首相は17日、新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言の対象を全国に拡大したことを受け、首相官邸で記者会見した。首相は「都市部から地方への人の流れは絶対に避けなければならない」と述べ、4月末からの大型連休に向け各地で移動を自粛するよう国民に呼び掛けた。10万円の現金給付をめぐる方針変更に関しては「混乱を招いた」と陳謝。早期支給に全力を挙げる考えを示した。
 1月の国内感染初確認後、首相の会見は5回目。首相は、旅行や帰省で人の流れが生まれれば「最も恐れるべき全国的かつ急速なまん延を確実に引き起こす」と危機感を表明。「観光施設への休業要請も必要だ。各地で所要の措置を講じられるよう宣言の対象を全国に拡大した」と説明した。
 東京都の17日の感染者が200人を超えたことにも触れ、「大変厳しい。最低7割、極力8割の接触削減を実現しない限り、感染者数を大きく減少に転じさせることは困難だ」と指摘。「全ては一人ひとりの行動に懸かっている」と述べ、全都道府県で夜の街への出入りを控えるよう求めた。
 現金給付をめぐっては、減収世帯への30万円支給を取り下げ、国民1人当たり一律10万円の給付に急きょ切り替えた。これについて首相は「混乱を招いたのは私自身の責任であり、国民に心からおわびしたい」と明言。ただ、財政支出の規模は6兆円から14兆円超に大幅に拡大するとアピールし、手続きも市町村窓口での感染リスク回避とスピード重視の観点から、郵送やオンラインで行うと力説した。
 一方、感染の有無を調べるPCR検査について、首相は各地に検査センターを設置し、かかりつけ医の判断で受けられるようにすると説明。会見に同席した基本的対処方針等諮問委員会の尾身茂会長は、専門家の立場から「小さなヤマは当分覚悟した方がいい」と述べ、5月以降も一定の行動制限が必要になるとの認識を示した。
 会見に先立ち、首相は衆院厚生労働委員会で、宣言の全国拡大について「ずっと(議論を)重ねている」と述べ、現金給付に関する方針転換との関連を否定。「十分でなければ、やるべきことをやる」とも語り、5月6日までの宣言期間を延長する可能性に言及した。
 10万円支給までに要する時間に関しては、「(2009年の定額給付金支給までにかかった)3カ月より相当短縮は可能だ」と指摘。首相が7日の会見で「全員給付は3カ月かかる」と述べていたことから、野党は「虚偽説明だ」と猛反発した。 (C)時事通信社