新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、静岡県東部にある伊豆半島の市町が、宿泊業者やバーなどを含む飲食業者に対し、独自の休業要請と補償を相次いで始めた。首都圏の住民が伊豆へ避難する「コロナ疎開」を防ぐためだが、観光が基幹産業の市町にとっては苦渋の決断でもある。
 伊豆は、毎年約1000万人強の宿泊客が訪れる県内一の観光地。ただ、最近では「大型連休でもないのに別荘地に人が多い」「東京都などに緊急事態宣言が出た後でも県外ナンバーの車を見掛ける」(市町担当者)という。
 伊豆は病院が少なく、感染症病床は8床にとどまる。県幹部は「人が急激に集まるのはリスクがある」と感染拡大への危機感をあらわにする。
 「医療崩壊」への警戒感もあり、修善寺温泉などを抱える伊豆市は、疎開者を呼び込まないよう、市内の宿泊・飲食業者や食材の卸業者などに対する休業要請に踏み切った。期間は13日から5月6日までで、応じた宿泊業者には一律40万円に加え昨年同時期の売り上げの2割を支給。飲食業者には一律20万円と同5割を支払う。所要財源は約4億5000万円と見込む。
 西伊豆町は、宿泊・飲食業者などに5月6日までの休業を要請。休業による損失の6~7割を補償する。事業費は約3億円で、取り扱い開始後の5日間で申請は約80件に上った。伊東市も、バーやナイトクラブなど接客を伴う飲食店約100軒を対象に一律20万円を支給する。
 「観光が町の基幹産業。本来であれば一人でも多くの方に来てほしいが、1カ月間は来町をご遠慮いただきたい」。西伊豆町の星野淨晋町長は「断腸の思い」と吐露しつつ、こう訴えた。こうした動きに静岡県の川勝平太知事も「市町の決定に協力する」として、補償金の一部を支援する方針を表明した。 (C)時事通信社