新型コロナウイルスの感染者が急増する東京などで、救急搬送された患者が複数の病院で受け入れを拒まれるケースが増えている。感染が疑われる患者の受け入れ態勢が整っていないことが原因で、医療現場は対応に苦慮している。
 東京都救急災害医療課によると、救急搬送する際、5カ所以上の病院に断られたり、受け入れ先が20分以上決まらなかったりしたケースは3月、前年同期比231件増の931件に上った。4月は11日時点で830件に達し、3月を上回るペースだ。このうち約7割は「発熱」「呼吸苦」など新型コロナ感染も疑われる症状だった。
 感染が確認された患者同士は同じ病室に入院させることができるが、「疑い」段階だとそうはいかない。病院関係者からは「個室の確保ができない」との悲鳴も上がる。
 千葉県柏市保健所によると、16日に感染が判明した40代女性は、都内で50カ所以上の病院に拒まれた末、柏市の病院にたどり着いた。
 「脳卒中患者でも37度以上の発熱を理由に受け入れを拒否された」。日本救急医学会が4月、全国の医師を対象に実施したアンケートで深刻な実態が明らかになった。同会の嶋津岳士代表理事は「院内感染リスクを理由に感染疑いの患者を診ない方針を決めている病院も多い」と明かす。
 病院の収容能力を拡充するには、設備や人材、防護装備などの整備が必要となり容易ではない。嶋津代表は「態勢が整っていなければ院内感染を起こし、スタッフを失いかねない。新たに受け入れを始める難しさもよく分かる」と理解を示す。
 その上で、「病院の自発的な受け入れに頼るのはもう限界だ。感染者を受け入れた病院に補助金を出したり、法的拘束力をもって命令したりするなど、国や自治体が踏み込まないといけない」と訴えた。 (C)時事通信社