【カイロ時事】中東で新型コロナウイルスによる死者の遺体埋葬を周辺住民が拒む事例が相次いで伝えられている。遺体が「ウイルス拡散を招く」との不安が根強く、エジプトでは埋葬を嫌う住民と治安部隊の衝突も起きた。当局は「防疫処置が講じられれば問題ない」と訴えるが、疑念の払拭(ふっしょく)に苦慮している。
 エジプト北部ダカリヤ県では今月11日、新型コロナで死亡した60代女性医師の遺体搬送を墓地近くの住民が妨害。治安当局が催涙ガスで鎮圧を図り、20人超が拘束された。
 イスラム教では、遺体は決められた手順に従い速やかに土葬する。しかし、AFP通信によると、イラクでは影響力の強い部族長や宗教権威の一部が埋葬に反対。死後1週間を過ぎても安置所で行き場のない遺体があるという。
 エジプトにあるイスラム教スンニ派最高権威機関アズハルは「新型コロナ感染死者を侮辱するのは許されない」と批判。同国では埋葬阻止を禁じるファトワ(宗教令)も出された。イラクのシーア派最高権威シスタニ師も埋葬に問題はないとの立場だ。
 エジプトの感染症専門医は地元メディアに、遺体は防腐効果のあるホルマリン液で入念に洗浄され非透過性袋で密封されるため、感染が広がる恐れはないと説明。それでも、感染防止に関する情報は広く周知されず、多くの遺体が警察の監視の下で秘密裏に埋葬されているという。 (C)時事通信社