【北京時事】中国政府は新型コロナウイルスの感染が拡大する国々に向け、医療物資や医師団を送る「マスク外交」を展開している。世界で最初に新型ウイルスに対応した経験や物資の生産力を武器に国際的な影響力を強め、米国などから提起されている「中国責任論」を回避したい思惑が透ける。ただ、輸出したマスクの品質が問題になるなど逆風も吹いている。
 新華社電によると、中国が派遣した12人の医療チームが16日、資材や漢方薬を携えエチオピアに到着。空港で出迎えたタデッセ保健相は「中国の検査キットは感染の広がりを知るのに不可欠だ」と歓迎した。エチオピアは、トランプ米大統領が「中国寄り」と批判する世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長の母国でもある。
 中国は自国の対応に追われる米国を横目に、国際協力の主導権を握る狙いもありそうだ。中国の医療チーム派遣先は、イタリア、パキスタン、ラオス、ミャンマーなど巨大経済圏構想「一帯一路」を通じ関係を強化している国が目立つ。王毅外相は16日に発表した論文で「中国は『一帯一路』の衛生分野の協力を積極的に強化し、『健康シルクロード』を共同構築する」とうたった。
 中国政府は10日までに、127カ国と4国際機関に医療用マスク、防護服、ウイルス検査キットなどの支援物資を提供。中国税関によると、今月初旬までの約1カ月間にマスク約39億枚、防護服約3750万着、人工呼吸器1万6000台などが輸出された。日本へのマスク輸出も「一時滞っていたが再開されつつある」(外交関係者)という。
 一方、中国輸出品の欠陥問題が相次ぎ、オランダ政府はマスク60万枚の回収を決め、スペイン政府は検査キット約6万個を返品。欧米メディアの報道でイメージが低下することを恐れる中国政府は10日、輸出用医療物資の税関検査を強化した。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によれば、マスクや人工呼吸器の米国向け輸出が滞る弊害も出始めている。 (C)時事通信社