【ニューデリー時事】インドで貧困層に対する新型コロナウイルス感染防止対策が大きな課題となっている。政府の調査では全人口13億人超のうち貧困層が2割強を占めるが、実態はさらに多いとみられている。大都市への出稼ぎ労働者が外出禁止措置で職を失って帰郷するなど、感染リスクの拡大が指摘されている。
 感染防止のため政府が人の移動を規制する中、失業した出稼ぎ労働者が首都ニューデリーや商都ムンバイのバスターミナルに押し寄せるなど帰郷の動きが広がり、規制の網をかいくぐって徒歩で数百キロ先の故郷に戻った人も多い。インディア・トゥデー誌(電子版)によると、ある医師は「国内でのこうした移動は感染を増大させる恐れがある」と懸念を示した。
 各地方政府は移動抑制策として、家賃や食費を賄えなくなった人々のためにシェルターを用意した。しかし、過密なシェルターでの滞在を強いられたり、情報が行き渡らずに橋の下などで密集生活を余儀なくされたりしているという。
 民放NDTVは、ニューデリーの川沿いに捨てられた腐りかけのバナナを拾い集める人々の姿を報道。「常に食料を得られるわけではない。これを拾った方がましだ」という男性の声を伝えた。
 モディ首相は3月29日、貧困層対策の遅れを認め、「私を許してほしい」と異例の謝罪をしたものの、貧困層が置かれた厳しい状況の改善はなかなか進んでいない。 (C)時事通信社