【カイロ時事】中東で最初に新型コロナウイルス感染が拡大したイランで、感染リスクが低いとされる一部の経済活動が再開された。イランは米国の制裁でコロナ流行前から苦境にあえいでおり、政府は経済面の打撃を最小限に食い止めたい考え。新たに発表される感染者数は減少傾向にあるものの、市民からは「感染の第2波」を恐れる声も強い。
 首都テヘランでは18日から小規模商店などが営業を再開。街頭はマスク姿の市民でにぎわい、幹線道路では渋滞も見られた。一方で、普段は買い物客でごった返す中東最大級の市場内の店はほとんど閉じたまま。感染の危険度が高いレストランやスポーツジム、映画館などは封鎖が続き、休校措置も継続される。
 イランの19日の公式発表では感染確認者は8万2211人で、死者は5000人超。警戒が緩めば、再び感染が広がる可能性は残る。テヘラン市内の男性販売員はAFP通信に「安全とは思えないが、経済的な理由で出勤しなければ」と窮状を訴えた。
 政府が経済活動の再開を急ぎたい背景には、深刻な不況がある。国際通貨基金(IMF)の推計では、昨年大きく落ち込んだイラン経済は、今年もさらに激しい打撃を受けると見込まれる。新型コロナ感染拡大抑止のためIMFに求めた50億ドル(約5400億円)の緊急支援も、IMFへの影響力が強い米国の反対でめどが立たない。
 ロウハニ大統領は18日、「国民の協力で拡散は緩やかになってきた」と述べ、徐々に経済活動を増やしたい意向を示した。だが、地元メディアによれば、テヘランで感染抑止対策に当たる政府当局者は「首都ではまだ流行期で、特に交通量の増加は懸念を高める」と警告している。 (C)時事通信社