【カイロ時事】イスラム教のラマダン(断食月)が24日前後に始まるのを控え、中東などのイスラム諸国では新型コロナウイルスの感染拡大抑止に躍起だ。例年は多数の信徒がモスク(イスラム礼拝所)などに集まり、飲食を共にする機会が増えるが、ウイルス拡散の温床になりかねない。各国で都市封鎖や外出自粛が広がる中、「礼拝は家で」との呼び掛けも広がり、1年で最もにぎわう祝祭期間の風景は一変している。
 ラマダンは、イスラム教の預言者ムハンマドが神(アラー)の啓示を受けた最も神聖な月とされ、信仰心が一段と高まる。イスラム教徒は日の出から日没まで飲食や喫煙を断ち、日没後は「イフタール」と呼ばれる豪華な食事を楽しみながら、祈りや歓談を夜通し続ける人であふれる。
 しかし、今年は新型コロナが影を落とす。中東各国では続々とモスクが閉鎖され、夜間を含む外出を禁止。それでも、感染リスクより信仰を重視する信徒が後を絶たないため、ラマダン期間中も厳しい規制は継続される見通しだ。
 聖地メッカとメディナを抱えるサウジアラビアの高位法学者評議会は、約18億人とされる世界中のイスラム教徒に向け、密集を避けて自宅での礼拝を要請。「人命を救うことは、神にさらに近づく偉大な行為だ」と訴えた。サウジは感染拡大がやまず、ラマダンで増加する巡礼者の受け入れも既に中断した。
 中東最大の人口を誇るエジプトでは、ラマダン中に富裕層や慈善団体の寄付などで街頭で無償提供されるイフタールが、感染抑止を理由に禁じられた。国民の3割を占める貧困層への打撃は大きく、日雇い労働者ムハンマド・アリさん(31)は「10日以上も仕事がなく、給料がもらえない。それに加えてイフタールの食事もなくなれば、本当に困窮してしまう」と嘆いた。 (C)時事通信社