【ニューヨーク時事】米ニューヨーク州で新型コロナウイルス拡散防止のため自宅待機令が発令されてから22日で1カ月。外出規制や社会的距離を確保する政策が奏功し、感染拡大の「ピークは越えた」(クオモ知事)と推定されている。しかし、依然1000人以上が毎日新たに入院しており、経済活動の再開は見通せていない。急増する失業者が困窮する中、州内では再開を求める声も出始めている。
 ◇死者1万5000人に
 ニューヨーク州の感染者は25万1000人を超え、死者は1万4828人になった。感染者や死者の半数超が集中するニューヨーク市は外出規制を受けて風景が一変した。高級店が並ぶマンハッタンの五番街は店が閉まり、人や車両がほとんど通らなくなった。一方で外出規制の対象外であるスーパーへの買い物や運動で出歩く人は少なくなく、混雑防止へ入場規制をしているスーパー前の行列は今や日常的な光景になった。今ではほとんどの人がマスクやバンダナで口や鼻を覆い、ジョギングをする人もマスク着用者が増えてきた。
 コロナ感染による入院患者は当初、最大11万人になると予想されたが、外出規制を受け、約1万9000人をピークに減少に転じ、クオモ氏は「医療体制は安定してきた」とみる。ただ、多くの市民は「第2波」を警戒し、規制を守り続けているようだ。
 ◇食べ物求め2時間半
 「失業保険の申請が多すぎて、ウェブサイトや電話のシステムが崩壊した」。クオモ氏は21日の記者会見で、急増する申請に当局が圧倒されていると説明した。州では3月22日から必要不可欠ではない事業がすべて閉鎖になり、米メディアによると、州の失業保険申請者は約120万人に上る。州は1000人が電話対応に当たっているが追い付いていない。
 職を失い、食べるのに困る人も急増している。ニューヨーク市クイーンズで炊き出しや食料提供を行っている非営利団体の前には4月19日、長蛇の列ができていた。並んでいるのは英語を話せない移民とみられる人が多い。家政婦の仕事を失った女性(49)は「このままでは(家賃や光熱費などが)払えなくなる。政府は支払いは待ってもらえると言うけれど、請求は来る。食べ物とお金が必要だ」と訴えた。列の前方にいた人は2時間半以上並んでいると話していた。
 ◇州内でも抗議デモ
 州の感染者のほとんどはニューヨーク市のある南部に集中している。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、州内の別の地域ではクオモ知事に経済再開を求める声が強まっており、州西部バファローでは20日、約150人が抗議デモを行った。クオモ氏はこれまで州全体として再開を判断する方針だったが、21日の記者会見では「一つの州として行動するが、違いも理解する必要がある。経済をできるだけ早期に再開したい地域で、州内の別の地域と根本的に状況が異なるなら、それも考慮する」と述べ、地域別に判断する姿勢に転じた。
 とはいえ、経済を再開するには大量の検査が不可欠だ。州は検査実施数を1日4万件に倍増させることを目指すが、態勢強化には「数週間」(知事)かかるという。 (C)時事通信社