「感染場所に心当たりはない。それでも、申し訳ない気持ちでいっぱいだった」。新型コロナウイルスに感染し、自宅などで療養生活を送った会社経営の40代男性(埼玉県)が取材に応じた。男性は発熱や味覚・嗅覚障害に悩みながら、感染したことへの自責の念に駆られ続けた。
 症状が出始めたのは3月31日。倦怠(けんたい)感と38度以上の高熱が出た。翌日に解熱したものの、背中の痛みは続いた。感染を疑ったが、マスク着用や手洗いを徹底し、人が密集する場所を極力避けており、「まさか自分が」とやり過ごした。
 今月3日の夕方、においを感じにくいことに気付いた。夕食のしょうが焼きを口にしても甘さやしょっぱさがなく、「感染を覚悟した」。検査の結果、6日に陽性と判明した。
 病床が空くまで自宅で療養した10日間は、40代の妻と大学生の長女、中学生の長男と接しないよう、離れた部屋で寝食。浴室は使うたびにアルコールスプレーで除菌した。それでも「家族にうつす恐怖に駆られた」という。
 感染経路は不明で、「食事をした店や通勤電車でうつったのか。無自覚の感染者と接触したかもしれない」と自問自答する。原因に心当たりがなくても、周囲への罪悪感に苦しんだ。家族は2週間以上家から出られなくなり、濃厚接触者とされた知人には謝罪の連絡をした。「自分も家族もやり場のない怒りと不安でいっぱいだった」と振り返る。
 男性はいったん入院した後、15日に退院した。症状や隔離方法の情報がなく困ったことを踏まえ、ツイッターで自身の経験を発信している。検査の経緯などを尋ねるメッセージが届いており、「不安な人の役に立てれば」と話している。 (C)時事通信社