新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、感染の有無を調べるPCR検査を増やす取り組みが進んでいる。政府が1日2万件の検査能力を目標に掲げ、可能検査数は約1万3000件に増えたが、実施は最大約8000件にとどまる。実施数が増えない要因となっている保健所への業務集中を改善するため、地域医師会や民間会社を通じた検査が進められ、「ドライブスルー方式」などを採用する自治体も増えている。
 厚生労働省が定めた従来の手順では、一定の発熱などが続く場合、主に保健所に設置した相談センターに電話し、「帰国者・接触者外来」を受診する。採取検体は保健所を通じ、地方衛生研究所で検査される。
 しかし、窓口の保健所には電話が殺到してパンク状態で、検査を受けられないとの訴えが後を絶たない。感染者が全国最多の東京都は特に深刻で、都医師会の尾崎治夫会長は「保健所は少ない人数で精いっぱいやっているが、感染者の増加スピードに業務が追い付かず、機能不全だ」と嘆く。地衛研の検査能力にも余裕はなく、検査数は伸び悩んでいる。
 このため厚労省は15日、地域の医師会が運営し、検査を担う「地域外来・検査センター」の設置を認めるよう都道府県に通知した。同センターは保健所を介さず、かかりつけ医から連絡を受け検体を採取し、検査は民間会社に委託する。都内では同センターが最大50カ所近く設置される可能性があるという。
 一部自治体では、車を降りずに検査を受けるドライブスルー方式の採用を開始。病院内と異なり、患者ごとに換気や消毒を行う必要がなく、短時間で済むため医療機関の負担減にもなる。
 15日から実施している奈良県の担当者は「1人10~20分で終わり効率的。検査は民間会社に依頼し、保健所の負担も減る」と意義を説明する。厚労省も同方式の容認に転じ、大阪府、宮城県など導入する自治体が相次いでいる。神奈川県横須賀市は、ボックス内から手袋をした手だけを出して検体を採取する「ウォークスルー方式」の検査を24日から実施する。
 政府の専門家会議は22日、保健所の負担減のため、地域医師会による外来・検査センターの設置や民間検査会社のさらなる活用を提言。厚労省幹部は「1日2万件の目標は速やかに達成したいが、現状の検査体制でも、地域の医師会などの協力を得て検査数を伸ばしたい」と話している。 (C)時事通信社