【ロンドン時事】新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、英国ではマスク着用の是非をめぐる論争が過熱している。流行前、マスクは一般的ではなかったが、今では着用義務化を求める声も強まっている。
 「公共交通機関の利用時にマスク着用を義務化すべきだ」。ロンドンのカーン市長は16日、政府にこう提案した。スカーフなどでの代用も可とし、感染拡大の抑止効果に期待を示した。
 世界保健機関(WHO)はマスクによる予防効果を示す証拠は乏しいとしており、英政府機関のイングランド公衆衛生庁(PHE)も同様だ。デービッド・ヘイマン元PHE長官は「病院では着用に効果はあるが、公共の場所でもそうとは限らない」と指摘している。
 これに対し、権威ある英医学誌「ランセット」は、地域の人々が一斉にマスクを着用すれば、せきやくしゃみなどの飛沫(ひまつ)によって他人をウイルスに感染させるリスクを低減できるとする論文を掲載。公衆衛生の専門家を中心とした100人以上の医師も連名で英紙タイムズに寄稿し、マスク着用の必要性を訴え、政府に政策の見直しを求めた。
 ハンコック保健相は22日の下院答弁で、「専門家がマスクの効果を検証しており、政府はその助言に従う」と表明。さらに「その場合でも国民全員にマスクを無料で配ることは約束できない。大変な労力がかかるため、医療従事者を優先しなければならない」と述べた。
 マスクをめぐっては、着用が一般的なアジアの感染者が比較的少ないことから注目を集め、米国やチェコなどでは外出時に着用を推奨したり、義務化したりする動きが出ている。 (C)時事通信社