【パリ時事】フランスでの新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない中、救命の最前線となっている病院での医療物資不足を救おうと、同国のワイン生産者が立ち上がった。フランスは世界有数のワイン大国。高級ワインをインターネット競売サイトに無償提供し、売り上げを支援団体に全額寄付する。競売は27日から始まり、支援の輪が広がっている。
 競売に掛けられるのは、日本では年代によって1本10万円以上の値段が付くボルドーのシャトー・シュバルブランなど、100を超える生産者のワイン約1000本。サイト運営会社は6万~10万ユーロ(700万~1200万円)の売り上げを見込む。
 フランスの新型コロナウイルス感染者は15万人以上で、死者は2万人超に上る。病院では人工呼吸器などの医療機器やマスク、防護服が不足し、医療従事者が院内感染するケースが深刻な問題となっている。
 サイト運営会社幹部のドランクザン氏は時事通信の取材に対し、「未曽有の危機に直面し、医療従事者のために私たちができることはないかと考えついた」と語る。
 医療現場が深刻な物資不足にあえぐ一方、ワイン生産者も苦境に立たされている。新型ウイルスの感染拡大を受け、フランスでは3月中旬以降、レストランやカフェが軒並み休業に追い込まれ、ワインの売り上げは激減。新規顧客獲得の場であるワイン見本市も中止となった。
 こうした中でもドランクザン氏は「世界約60カ国でサイトを利用している55万人ものワイン愛好家への宣伝になる」と語る。生産者にとって無償提供でもメリットは大きいという見方だ。
 競売期間は5月7日まで。落札手数料を含めた売り上げは全額、病院への医療物資調達を支援する国内の市民団体へ寄付される。 (C)時事通信社