新型コロナウイルスが人の細胞に感染する方法は、細胞側が防御する仕組みを乗っ取って利用しているとみられると、米マサチューセッツ工科大などの国際研究チームが25日までに米科学誌セル電子版に発表した。病状の急速な悪化に関与している可能性があり、最適な治療法を探るために詳細な解明が期待される。
 球形の新型コロナウイルスには突起状のスパイクたんぱく質が多数あり、人の細胞表面にある受容体たんぱく質「ACE2」に結合させて侵入、感染する。細胞側はウイルスの複製を妨げ、免疫細胞を活性化させるたんぱく質「インターフェロン」を生み出す。
 しかし、このインターフェロンによって周辺の細胞ではACE2が増え、ウイルスが感染しやすくなることが判明。防御の仕組みを乗っ取る形になっていた。ACE2は本来、血圧を調節するほか、肺炎の症状を改善する働きがある。新型コロナ感染症の治療にはインターフェロンの投与が試みられており、研究チームは投与する適切なタイミングや量を探った方がよいと指摘している。
 新型コロナウイルスの細胞侵入、感染には、ACE2とともに「TMPRSS2」と呼ばれる酵素が重要な役割を担う。これらが両方作られ、ウイルスが感染しやすい細胞の種類は、鼻の粘膜では粘液を生み出す杯細胞、肺では血液と酸素や二酸化炭素をやりとりする肺胞の形状を維持する「II型肺胞上皮細胞」、小腸では栄養分を吸収する「吸収上皮細胞」と分かった。感染患者は腹痛や下痢が生じる例もある。 (C)時事通信社