【ブリュッセル時事】人口約1140万人のベルギーの新型コロナウイルス感染による死亡率が、米国やイタリアよりも高く、世界ワーストとなっている。ほかの多くの国と違い、感染未確認の老人ホームでの死者も疑い例として当初から集計に算入してきたためだ。
 政府は数字が過大となる可能性を認めつつ「完全な透明性」(ウィルメス首相)を重視。ただ、国内には風評を懸念する声も出ている。
 ベルギー国内の累計死者数(25日発表)は6917人。米ジョンズ・ホプキンス大学システム科学工学センター(CSSE)の集計では、5万人超の米国や2万人超のイタリアなどに次ぐ世界6位だが、人口10万人当たりの死者数は58.47人で、2位のスペイン(48.21人)を大きく上回る。
 病院で亡くなった人が46%だったのに対し、老人ホームは53%。後者のうち検査で感染が確認されたのは8%にとどまり、残りは疑い例だ。
 これは検査態勢が当初不十分だったことを踏まえた判断。政府は、病院以外の感染の広がりを把握し「必要な場合に素早く対応できる」(担当者)と説明している。
 中国の情報隠蔽(いんぺい)疑惑に加え、欧米各国で統計未算入の老人ホームでの感染拡大が問題視されている中、ベルギーの対応は際立っている。
 ただ、老人ホームでは通常でも一定数の死者が出るため、国内の専門家の中には「もはや誰も他の理由では死んでいないことになる」と算入に批判的な意見もある。
 政府は老人ホームでの検査数を大幅に拡充し、正確性を高める方針。しかし、感染拡大の鈍化を受け、各国が経済活動の正常化を模索し始めており、「高リスク国」とのイメージが定着すれば観光業に悪影響が出るとの不満も噴出している。 (C)時事通信社