【シドニー時事】オーストラリアで手軽なギャンブルとして親しまれている「スロットマシン」の置かれる施設が新型コロナウイルス感染防止のため閉鎖されて1カ月がたった。事実上利用が禁止されたスロットマシンにつぎ込まれずに済んだ金額がこの間、少なくとも10億豪ドル(約690億円)に上ることが、ギャンブル問題を啓発する団体の調査で分かった。ギャンブル依存症など「精神的な病」(啓発団体)も緩和されるなど、想定外の効果を生んでいる。
 豪州でスロットマシンは日本のパチンコやパチスロに相当する庶民のギャンブル。250億豪ドル(約1兆7000億円)に上るギャンブル市場全体の半分近くを占めている。マシンはパブやクラブなどに置かれているが、豪政府は3月23日から新型コロナウイルス対策の一環として、こうした人が密集する施設を閉鎖した。
 啓発団体「アライアンス・フォー・ギャンブリング・リフォーム」によれば、閉鎖以降にスロットマシンに使われなかった額が4月22日には10億豪ドルを突破。団体の責任者は「代わりに、食卓の食べ物、医療費や光熱費、家賃、住宅ローンの支払いに使うことが可能だ」と語った。
 豪公共放送ABCは、依存症などギャンブルで問題を抱えた多数の人々を取材し、多くの人が「最も平穏な時間を過ごした」と答えたと報じている。
 豪モナシュ大学のダン・ラブマン教授は時事通信の取材に、インターネットのギャンブルはそれほど増えていないと説明。ただ「規制が緩和されれば、誘惑が戻る」と語った。 (C)時事通信社