新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が出てから28日で3週間。外出自粛要請が続く中、家庭での酒量増加が懸念されている。専門家は深酒による健康被害などさまざまな問題を指摘。「飲酒リスクを認識して」と訴える。
 酒類販売のカクヤスが発表した3月の売上高は、飲食店などの業務用が前年同月比で3割近く落ち込む一方、家庭用は7.8%増加した。テレワークなどによる「巣ごもり需要」が増えたためとみられる。
 「行動が制限される中で、自宅飲みが手っ取り早いストレス解消法になっている」。各種の依存症ケアに取り組む大船榎本クリニック(神奈川県鎌倉市)の精神保健福祉士・斉藤章佳さん(40)は、適量の飲酒に理解を示しつつ、「深酒が続けば健康や人間関係に悪影響を及ぼす」と話す。
 斉藤さんの懸念は、テレワークの人が普段より早い時間から酒を飲み始めることだ。流行中の「オンライン飲み会」も終電を気にする必要がなく深酒になりやすい。また、アルコール度数が高い「ストロング系チューハイ」の売り上げが伸びていることも危惧しているという。
 斉藤さんは3月に出版した著書「しくじらない飲み方」(集英社)で、家庭や職場でのストレス、孤立感などをきっかけにアルコールを乱用し、家庭内暴力(DV)や失業に至った事例を紹介。家にこもらざるを得ない現状は「アルコール依存症患者や1000万人いるとされる予備軍がより深刻な状況に陥る可能性がある」と語る。
 こうしたリスクを抑えるため、斉藤さんが勧めるのは飲酒量の記録だ。カレンダーに適正飲酒量(成人男性でビール500ミリリットル)を守れた日は青、それ以上の日は黄色や赤のシールを貼る。「可視化することで家族と共有でき、酒量が増えた理由を見つけやすくなる」という。また、ジョギングや体操などで「生活リズムを整えることも大切」と説明する。
 「親しい人とも会えない難しい時期」と斉藤さん。「それでも、電話やメールなど連絡を取り合うことで飲酒に頼らない生活につなげてほしい」と強調した。 (C)時事通信社