【ベルリン時事】世界保健機関(WHO)の元法律顧問、ジュネーブ国際開発高等研究所のジャンルカ・ブルチ非常勤教授は28日、時事通信の電話インタビューに応じ、新型コロナウイルスをめぐるWHOの中国賛美について「過剰だ」と苦言を呈した。テドロス事務局長については、前任者より「政治家の側面」が強く、危機対応の手法にもそれが現れていると分析した。主なやりとりは以下の通り。
 ―中国への配慮で対応が遅れたと批判がある。
 WHOは警察ではなく、(加盟国の)調査権限はない。通常はNGOなど民間情報源も使うが、情報統制されている中国では難しかった。情報提供の協力確保のため、友好姿勢に徹したのかもしれない。とはいえ繰り返される中国賛辞には驚いた。理由を臆測したくないが、少々過剰だった。
 ―テドロス氏とチャン前事務局長の違いは?
 テドロス氏はエチオピアで保健相や外相を歴任し、政治家の側面が強い。チャン氏は政治のバックグラウンドはなかった。過小評価されていることだが、このためにテドロス氏はトランプ米大統領など大物政治家にコンタクトを取りやすい。
 ―WHOと政治の関係は?
 国連機関は政治的であるのは避けられない。緊急事態宣言は専門家委員会の助言に基づくが、政治的意味合いも強く、純粋に技術的なことと捉えるのは幻想だ。対象国の国民を驚かせないようにする必要がある。テドロス氏が1月末の宣言前に中国の習近平国家主席に会ったことを批判されたが、必要なことだった。
 ―米国の資金拠出停止の影響は?
 トランプ氏の批判も政治的意図があり、額面通り受け取るべきではない。米国は2009年の新型インフルエンザ流行時には情報提供を遅らせた。
 年5億ドル程度の米国の拠出額がなくなれば影響は大きい。今は緊急事態で他の国も協力的であり、代替資金源は見つかるかもしれない。しかし長期的にもそうであるかは不透明だ。

 ◇ジャンルカ・ブルチ氏略歴
 1998年に世界保健機関(WHO)入りし、2005年から16年まで法律顧問。主にマーガレット・チャン前事務局長(任期は07~17年)の下で勤務した。現在はジュネーブ国際開発高等研究所の非常勤教授(国際法)。イタリア出身。 (C)時事通信社