「密です」―。東京都の小池百合子知事が新型コロナウイルスの感染拡大防止のため発した言葉が、インターネット交流サイト(SNS)で話題だ。発言を題材にしたイラストやゲームなども投稿され、盛り上がりを見せている。専門家は「『密』というキーワードの訴え方が効果的だった」と分析する。
 もともとは、小池氏が9日、内閣府でコメントを求めて殺到する報道陣に発した言葉。小池氏が「密です」と連呼し、距離を空けるよう求める様子が報じられると、ネット上で盛んに使われるようになった。
 ツイッターには発言を題材にした投稿が多数あり、イラストを描く人やダンスミュージックを作る人も。街で密集した集団を探し、「密です」と声を掛けて距離を取らせるゲームも登場。制作者が20日に投稿したゲーム紹介動画は1週間で830万回以上再生された。
 キャッチコピーを研究する中央大学の飯田朝子教授(商業言語学)は「『密』は『親密』や『連絡を密にする』というように良い意味で使われてきたが、それと真逆のメッセージが短く伝えられ、面白い、びっくりしたという反応がネットに表れたのではないか」と解説する。
 その上で、「密です」の「です」に注目。丁寧語には相手との距離を保つ効果があるとし、「密よ」「密だね」ではなく「密です」とすることで「『離れてください』ということを分かりやすく伝えられる」と説明する。
 飯田教授はまた、「密」を「今年を象徴する一文字」と評価。「集まることが必ずしも良いことではないことを顕在化させた。このキーワードがなかったら、もっと感染者が増えていると思う」
 東京都は、新型コロナの感染拡大を防ぐため、換気の悪い密閉空間、多くの人の密集する場所、近距離で密接して会話する場面の「3密」を避けるよう呼び掛けている。 (C)時事通信社