【モスクワ時事】新型コロナウイルスの感染者が急増するロシアで、多数の医療従事者が感染して死亡している疑いが浮上している。一部の医師がインターネット上に独自に開設したサイトによれば、新型ウイルスの流行後、ロシア国内で医療従事者70人が既に死亡した。同サイトの情報を受けて当局が死亡を認めるケースもあり、政府の統計の信ぴょう性にも疑いが生じている。
 このサイトは「追悼のリスト」と呼ばれ、モスクワの医師らが最近開設した。「新型ウイルスのパンデミック(世界的流行)に際し死亡した医師や看護師らのリスト」として、死者の氏名や年齢、勤務地が記載される。
 リストの目的は「亡くなった同僚の記憶をとどめることであり、正確な統計を作成することではない」と説明している。死者の同僚らから寄せられた情報を基に作成され、29日時点で死者数はロシアで70人、ベラルーシで4人だ。
 ロシアではかねて医療従事者がマスクや防護服の不足を訴えてきた。医療機関での感染拡大の実態は相当深刻な可能性がある。
 インタファクス通信によると、医療従事者の内部告発とも言える同サイトの情報を受け、第2の都市サンクトペテルブルクの保健当局は25日、リストに載った看護師4人について今月死亡したことを認めた。一方で4人の中には「死に至る他の深刻な病を患っていた者もいた」と反論。感染は勤務中ではなかったとも主張した。
 ロシアの感染者は約10万人。ただ、死者数は約1000人で、致死率1%は欧米と比較して大幅に低い。検査で陽性の患者が死亡した場合でも、死因によっては統計上、新型ウイルスの死者に含めていないのではないかと疑念を呼んでいる。 (C)時事通信社