新型コロナウイルス感染症治療に臨時に使われている自己免疫疾患薬「ヒドロキシクロロキン」(商品名プラケニル)について、抗菌薬「アジスロマイシン」と併用した場合に心臓の重い不整脈が起きる症例が国内でもあり、販売する医薬品会社サノフィ(日本法人)は2日までに医療関係者向けに注意喚起した。投与量に注意し、必要に応じて心電図などでモニターするよう勧めている。
 ヒドロキシクロロキンはマラリア治療薬「クロロキン」より、視覚障害を起こす網膜症の副作用が少ない。海外ではマラリアのほか、関節リウマチなどの自己免疫疾患の治療に使われる。日本では発疹が起きる「皮膚エリテマトーデス」と発熱や倦怠(けんたい)感などを伴う「全身性エリテマトーデス」の治療に限り、2015年に承認された。
 新型コロナ感染症は適応外だが、抗炎症、抗ウイルス作用が期待されて国内外で試用され、安全性や有効性を確認する臨床試験も始まった。日本感染症学会のホームページにはヒドロキシクロロキンの単独投与のほか、肺炎治療に使われるアジスロマイシンとの併用で治療効果があったとの症例が相次いで掲載された。
 しかし、大阪市立大の症例報告によると、基礎疾患がなく、重い肺炎となった男性患者(38)に併用した結果、不整脈の一種で、心臓から血液を送り出せなくなる「心室細動」が起きた。心肺蘇生で回復し、両剤の使用を中止した。両剤とも不整脈が起きる場合があることが以前から知られている。サノフィは併用のほか、心臓に基礎疾患がある患者に使う際も注意するよう呼び掛けている。 (C)時事通信社