新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、東京弁護士会中小企業法律支援センターの相談窓口(電話03―3581―8977)には、事業者からウイルスをめぐるさまざまな法律相談が寄せられている。主な内容について、同センターの中井陽子弁護士(ルーチェ法律事務所)に見解を聞いた。
 ―自粛要請を無視して強行したイベントでクラスター(感染者集団)が発生したら、主催者はどんな法的責任を負うのか。
 主催者には、参加者の健康や安全に配慮すべき「安全配慮義務」がある。イベントでクラスターが発生して参加者が感染した場合、一般的に刑事犯罪にはならないものの、安全配慮義務違反により主催者側が損害賠償責任を負う可能性がある。
 ―自治体の要請でイベントを自粛した場合、会場の利用料金やチケットの払戻金は自社負担?
 会場利用料金やチケット払戻金の負担は、契約の規定によって決まる。規定がなければ、民法の危険負担や債務不履行の定めにより会場利用料金の負担は拒める見込みがあるが、チケット払戻金は負担しなければならない可能性が高い。4月1日に民法が改正されたため、契約に新旧どちらの規定が適用されるかも重要。
 ―感染や感染疑いのため社員を休業させた場合、休業手当を支払う必要はある?
 社員が感染者となった場合は、一般的には「使用者の責(せめ)に帰すべき事由による休業」に該当せず、原則として休業手当を支払う必要はないと考えられる。一方「感染の疑い」にとどまる場合、会社の自主的な判断で休業させるならこれに該当し、休業手当を支払う必要がある。感染した社員は、支給要件を満たせば傷病手当金の給付を受けることができる。 (C)時事通信社