大阪市生野区の「なみはやリハビリテーション病院」(120床)で、新型コロナウイルスの大規模な院内感染が発生した。看護師が陽性確認後に夜勤に当たっていたことも判明し、重症患者を治療する最前線の医療機関からも行政支援を求める声が上がる。
 同病院では4月14日以降、患者や職員ら約130人の感染が明らかになった。感染経路は不明で、市保健所などが調査を始めたが、陽性と判定された女性看護師2人が招集され、夜勤に従事していたことが判明。病院は市に対し「代替要員が確保できなかった」と説明し、人手不足に陥っていた可能性がある。
 看護師数は増加傾向にあるが、都市部では離職率が高い上、訪問看護や介護施設など地域でのニーズが急増している。厚生労働省は昨年、看護職員の2025年の充足率が東京都や大阪府で約7割に落ち込む可能性があるとの推計を公表した。
 病床100床当たりの国内の看護師数は、欧米の4分の1の水準にとどまる。同省の08年の報告書によると、英国の200人、医療崩壊が起きたイタリアの136人に対し、日本は38人にすぎなかった。
 重症患者の治療に当たる現場でも懸念は高まる。人工呼吸器を装着した重症者は体力が衰えており、回復後もリハビリ病院に転院する必要があるためだ。
 堺市立総合医療センターの森田正則感染症対策センター長は「リハビリ病院が院内感染を恐れて患者を受けたがらない状況も理解できる。ただ、患者が滞留すれば重症者の治療に影響する」と指摘し、治療後に陰性となった人を集中的に受け入れる病院の設置など行政の支援を求めた。
 日本救急医学会の代表理事の嶋津岳士・大阪大教授は「急性期の治療が済んだ重症者の転院先の確保は、従来の課題だ。リハビリ病院など地域への『出口』を広げないと、コロナ患者を受け入れる『入り口』が開かないことを認識すべきだ」と話した。 (C)時事通信社