【カイロ時事】中東で最も早く新型コロナウイルスの感染が広がったイランで、精鋭部隊「革命防衛隊」に近い民間の「マハン航空」が政府の禁止措置を無視する形で、中国との直行便運航を続けたことが感染拡大を招いたとの見方が広がっている。
 革命防衛隊との深い関係を隠れみのに、近隣のイラクやレバノンなどと結ぶ便も運航を継続させ、イランにとどまらず中東各地へウイルスを拡散させた疑いも強まっている。
 英BBC放送が運航記録などを基に報じた。マハン航空はシリアやレバノンなどの親イラン勢力へ革命防衛隊の戦闘員や兵器、資金の運搬を担っているとして、米国が制裁対象としている。BBCは「経営陣は新型コロナの拡散を手助けし、人命を脅かしている」と批判した。
 報道によると、マハン航空は1月下旬にイラン政府が中国との定期便を停止した後も、北京や広州など中国4都市へ運航を継続。4月20日までに150便以上を飛ばし、中国に残っていたイラン人らを帰国させた。
 さらに、マハン航空の操縦士や添乗員らが中国便の搭乗を終えた後、自主隔離を求めたものの経営陣が拒否。感染拡大への懸念を口外すれば、刑事訴追の対象になると警告していたという。操縦士や添乗員は防護用具が不足したまま、革命防衛隊と結び付きが強い近隣国への搭乗を強要されたとされる。レバノンやイラクでの初の感染確認者は、いずれもマハン航空を使ったイランからの乗客だった。
 マハン航空をめぐっては、米ブルームバーク通信が4月下旬、南米ベネズエラの石油精製施設の修理の見返りに金塊約9トン(530億円相当)をイランへ運んだと報道。イランが米国の原油禁輸や金融制裁で主要収入源を絶たれ、原油価格暴落も逆風となる中で、革命防衛隊による資金源開拓に同航空が積極的に関与している可能性が指摘されている。 (C)時事通信社