新型コロナウイルスの感染拡大は、福祉作業所などで働く知的障害者らの労働環境にも大きな変化をもたらしている。仕事の受注が激減したり、介助スタッフ不在のまま在宅作業を余儀なくされたりする通所者がいる一方、マスク作りを通じ地域貢献に励む障害者もいる。
 知的障害者や自閉症の人の就労を支援する北海道東神楽町の福祉事業所「ゆい・ゆい本舗」は、運営する喫茶店の顧客が激減。苦肉の策として取り組む障害者の手作りマスクが地域で好評だ。
 施設内の喫茶店で約20人がカレーライスや軽食を作り提供してきたが、新型ウイルス流行後は利用客がゼロの日も出てきた。接客を通じた地域住民との交流や、店舗運営の話し合いなど自立生活につながる貴重な場が失われつつある。
 運営するNPO法人の野々村雅人代表は3月中旬、事態を見かね、手作りマスクの販売を決断。「マスク不足が深刻で困っている人がいる」と説明し、通所者に協力を求めた。紙タオル2枚をミシンで縫ったマスクは、1セット(2枚入り)100円。1日約50セット作っても追い付かないほど売れているという。
 「障害者同士、笑い合いながらやっている」と作業に励む姿に目を細める野々村代表。「『もっと顔に合うように作って』と要望されるなど、住民と接する時間が回復しつつある」と手応えを語る。通所者の稲船旭さん(25)も「人の役に立ててうれしい」と笑顔を見せる。
 全国122カ所の福祉作業所などが加盟する「全国自立生活センター協議会」の今村登副代表は「新型ウイルスの影響で状況が変化しても、障害者が働きやすい環境をつくることが必要だ」と話している。 (C)時事通信社