【カイロ時事】新型コロナウイルス感染が中東でいち早く拡大したイランで、公式統計で再び新規感染者が増加傾向に転じている。4月中旬から首都テヘランなどで段階的に経済活動が再開され、市民の警戒が緩んだ影響とみられる。地元メディアによると、感染防止対策の当局者からは活動再開は「時期尚早だったかもしれない」と懸念の声も出ている。
 イランでは感染確認者が減少に転じたことから、4月11日から感染リスクの低い地域で企業活動や都市間移動の制限が緩和された。テヘランでも同18日から小規模店舗などの営業が再開され、今では街頭やショッピングモールにも市民が多く集まる。政府の要請にもかかわらず、他者と密集しない「社会的距離」を守らずに、マスクを着用しない人も目立つ。
 イラン政府の発表では、5月2日には新規感染者は802人にとどまり、3月初め以来の少ない水準となった。だが、翌3日からは再び増加。4日には1200人を突破し、11日まで連続して1300~1600人程度の新規感染者が確認された。産油地帯の南西部フゼスタン州では感染の広がりが深刻だとして、銀行や商店などの閉鎖、外出規制を再び行うことを決めた。
 イランは感染拡大前から米国による制裁で深刻な不況に見舞われており、感染抑止と経済維持の両立が喫緊の課題。経済再開を急いだことが裏目に出た可能性もある中、ロウハニ大統領は10日、「他の国々に比べ、病気を抑え込んでいるのは誇らしい」と主張し、「感染第2波」への懸念を一蹴した。 (C)時事通信社