【モスクワ時事】ロシアの新型コロナウイルス感染拡大に歯止めがかからない。ロシア政府は12日、累計の感染者数が23万2243人になったと発表。米国に次いで多い水準となっている。しかし、これ以上の景気の悪化に耐えられないロシアは12日から経済活動の制限を緩和しており、一層の感染拡大も懸念される。
 ロシア政府は感染者数の増加について「大量に検査を実施しているため」と主張する。保健当局によれば、これまでに560万件の検査を実施。プーチン大統領は11日、検査について「現在、毎日約17万件実施されている。世界でも最も多い数だ」と強調した。
 ただ、ロシアは感染者数が非常に多いにもかかわらず、死者数は約2100人と、米国やスペイン、英国などに比べて圧倒的に少ない。感染者でも死因によっては「新型コロナの死者」に含めていないのではないかと疑念がくすぶっている。
 感染が深刻なモスクワ市の新型コロナの死者数は4月末までに658人にとどまる。一方、モスクワ市の統計によれば、4月に病気などで亡くなった人の総数は1万1846人と昨年同月比18%増。過去10年でも最も多かった。
 独立系紙ノーバヤ・ガゼータは11日、これらの統計を基に「モスクワでの新型コロナの実際の死者は公式発表の約3倍」と推定する見方を伝えた。
 こうした状況にもかかわらず、プーチン政権が経済活動の部分的再開を急いだのは、コロナ禍に加えて原油安により、資源輸出に依存するロシア経済が深刻な打撃を受けているからだ。不満が高まり政権批判が先鋭化する事態を警戒している。 (C)時事通信社