【パリ時事】フランスで11日、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため3月中旬から続いた外出制限が緩和された。パリ市内では理髪店や家電量販店の前に行列が見られ、店主らは営業再開を歓迎した。だがカフェやレストランは休業が続き、市民の多くは「通常の生活に戻るにはまだ時間がかかる」と警戒を解かない。2カ月ぶりの不自由からの解放。パリ市街の様子と市民の表情を見て回った。
 ◇家電量販店に行列
 フランスでは17万人以上が新型コロナに感染し、死者も2万6000人を超えた。パリ市内の家電量販店では11日正午前、10人ほどが行列を作っていた。一度に店内に入れる客の人数を制限し、店員が消毒液を客の手にスプレーしながら1人ずつ店内へ案内。マスクを着用していない人には使い捨てマスクが渡された。
 不動産会社に勤める男性コランタン・ドリシューさん(38)は、外出制限期間中にパソコンが壊れるというアクシデントに見舞われた。在宅勤務をしていたが「古いパソコンしかなく、かなり不自由だった。やっと買えてほっとしている」と笑顔を見せた。
 同じ列に並んでいたナタリー・ドゥバルさん(24)は、「外出証明書なしで自由に出歩けるようになったのはいいことだが、生活はあまり変わらないだろう」とつぶやいた。「飲食店や大型商業施設も閉まったまま。感染を恐れて外に出るのを怖がる友達も少なくない」と話す。「夏のバカンスもどうなることやら。いつになれば通常の生活に戻れるのか」とため息をついた。
 ◇旅行で訪仏も帰れず
 観光名所エッフェル塔は休業が続くが、周辺の公園は制限解除とともに開園した。ただ、感染拡大前は多くの人でにぎわっていた公園内も人はまばら。ジョギングや犬の散歩をする人、子供連れの家族が数組いるだけだった。
 公園内を自転車で走っていた男子大学生のエニ・ユメライさん(25)は、2月にアルバニアから観光目的で来たという。当初は2週間の滞在予定だったが、感染拡大で航空便が運休に。それから約3カ月間、ホテル暮らしを余儀なくされ、「観光できず所持金もなくなった」と嘆く。制限を緩和しても航空便の再開はめどが立たず、「早く帰って家族に会いたい」と話した。
 ◇遊ぶ子供、笑顔戻る
 マッサージ店を営むタイ人のソダ・トーマンさん(33)は「ついに営業を再開できてほっとしている」と笑顔で話した。客が入店する際には体温を測定し、施術前には全身をくまなく消毒するという。一度に受け入れる客の数は減らすが、「休業よりずっといい」と声を弾ませた。
 ショッピングモールの近くでメリーゴーラウンドを営業するカマルさん(50)は、遊具の椅子や手すりを念入りに拭いていた。既に何人かの子供が遊びに来たといい、「客足は少しずつ戻るだろう」と期待する。「私の仕事は子供たちを楽しませること。コロナ危機のような困難があっても、人生は美しいと伝えたい」と笑顔で話した。 (C)時事通信社