【ニューヨーク時事】新型コロナウイルス感染拡大阻止へ経済活動を停止した米国で、失業者が急増し、失業保険をもらえないなど、貧困層がさらに困窮する事態になっている。失業して3月に政府から支援を受けられた人は3割以下との分析もあり、アフリカ系の女性は取材に「(最初は)親族に助けてもらっていたけど、最近は誰も助けてくれなくなった。皆大変になっている」と途方に暮れた。
 「(失業保険を申し込むウェブサイトが)途中で止まってしまい、完了できない」。オフィスビルの清掃など維持管理の仕事に就いていたニューヨーク市に住むアフリカ系の女性(59)は7日、3月に失業して以来、失業保険を申請しようとしているが、申し込むたびに途中でニューヨーク州のウェブサイトがダウンし、いまだに申し込めていないと語った。州で失業保険の申請が殺到しているためだ。
 労働省によると、全米で経済活動の落ち込みが本格化した3月中旬以降の7週間で、失業保険申請件数は3300万件を超えた。各州とも申請が殺到する中、保険の申請すらできない人もいる。一方、米調査機関ピュー・リサーチ・センターが4月下旬に発表した分析によれば、失業者のうち3月に支援が実際に受けられたのは約29%にとどまったという。
 このアフリカ系女性は失業保険が申し込めず、1カ月以上前に低所得者向けに食料購入費を補助する「フードスタンプ」の受給を申し込んだ。申請者には、食料品の支払いに使える電子カードが送られてくるはずだが、届かない。どうしても食料が必要になってカードを直接受け取るため7日、市内の政府庁舎前に並んだ。庁舎前には約30人が列をつくっていた。
 一方、失業保険の基準を満たさず、申請できなかった人もいる。フリーランスで塗装業を営む中南米系の男性(54)は「米国ではフリーランスだと基準を満たすのが難しい」と話す。景気刺激策としてトランプ政権が各世帯に配る小切手もまだ届かず、家賃も滞納している。ニューヨーク州は6月までは家賃を滞納しても入居者を立ち退かせないよう大家に求めているが、いずれは家賃を支払う必要がある。
 「働いているのに支援が受け取れない人もいれば、働いていないのに小切手を受け取る人がいる。本当に(社会から)取り残されているようだ」。男性は肩を落とした。 (C)時事通信社