新型コロナウイルス感染拡大は、日本で働くことに熱意を燃やしていた外国人留学生にも影を落とす。内定取り消しや授業の休止、帰国すらままならない状況に不安といら立ちが募る。
 「仕方ないとはとても思えない」。中国から留学し、東京工芸大学でグラフィックを学んでいた徐国棟さん(24)は途方に暮れた様子で話した。卒業し4月から中国のデザイン会社の日本法人で働く予定だったが、コロナの影響で会社が日本進出を急きょ中止し、就職先がなくなった。同月10日、採用取り消しを告げるメールが来た。「新卒しか相手にされない日本の仕組みでは希望通りの就職はできない」。日本で働きたかったが、母国で職を探すことを決めた。
 追い打ちをかけたのが、感染対策に伴う中国当局の航空規制。航空便の大幅な減少で、予約していた5月3日のチケットは強制的にキャンセルになった。次の予約もなかなか入らず、やっと取れたのは6月の便。3日に合わせて下宿も引き払っており、今は友人宅に身を寄せる。「次の便もだめだったら」と不安は増すばかりだ。
 現役学生にも影響は大きい。東京芸大大学院で映画編集を学ぶ台湾人の陳詩※(※女ヘンに亭)さん(28)は、長引く休校に焦りを募らせる。学校施設に立ち入れず、機材や資料に触れることもできない。集大成となる卒業制作の映画作りに熱意を傾けていたが、作業はすべてストップ。撮影などはどうしても多くの人が集まるため、学校が再開しても続けられるかどうかすら分からないという。
 日本で就職し、日台合作映画の制作に携わることを夢見て来日した陳さん。他の学生同様、出来上がった作品を「名刺代わり」に就職活動をする予定で、制作の可否は将来に直結する。業界への人脈づくりのために始めた映像プロダクションのアルバイトも、会社が休業状態。「バイト代で学費を賄うつもりだったが、仕送りに頼るしかない。収入面でも就職活動の面でも厳しい。こんなはずではなかったのですが」と、暗い表情で話した。 (C)時事通信社