新型コロナウイルスの感染拡大防止を、最前線で担う保健所の負担が深刻だ。「1年分の業務量が1カ月間に集中した」との指摘もあり、人員拡充や情報通信技術(ICT)を活用した負担軽減策が全国で進む。
 保健所には「帰国者・接触者相談センター」が設置され、職員が24時間態勢で内容を聞き取り、PCR検査や受診の必要性を判断する。このほかにも検体の搬送や医療機関との調整、クラスター(感染者集団)の調査など業務が山積する。
 大阪市保健所は4月中旬からセンターの人員を拡充し、民間派遣の看護師20人と医師3人で当たるが、毎日約1200件の電話があり対応が追い付かない。
 全国保健所長会(東京)の内田勝彦会長は、全国の新型コロナ患者が、保健所が1年間で対応する結核患者数を上回ったことを挙げ、「通常の約10倍の負担がかかっている」と危機感を強める。
 大阪府は4月下旬、自宅などで療養する患者の健康状態を把握するシステムを導入した。患者はスマートフォンで体温やせきの有無などを1日2回入力。保健所や府で集約された情報をリアルタイムで確認でき、容体変化を察知しやすくなった。
 以前は電話で20~30分かけて聞き取った内容を入力し、府の各部署宛てに異なる形式で送信していたが、画面越しに情報共有できるようになり、作業量が大幅に減った。府内の保健師女性(40)は「より患者の訴えに寄り添えるようになった」と話す。
 システムを開発したソフトウエア会社「サイボウズ」(東京)には約30の自治体から問い合わせがあり、埼玉県なども稼働を始めた。
 厚生労働省も同様のシステムを全国の保健所に導入する考えで、補正予算に約2億円を計上した。大分県など4自治体が試験運用を始めており、同省は「異例のスピードで作業が進んでいる」としている。 (C)時事通信社