【ロンドン時事】新型コロナウイルスのワクチン開発競争が各国で加速している。先行する米中両国とともに開発スピードを上げているのが、英政府などの支援を受けるオックスフォード大学研究チーム。成功した場合、今秋にもワクチン量産・実用化が可能になるとの見方も浮上している。
 世界中で死者30万人以上を出した新型コロナウイルスのワクチンをめぐっては、日本を含む各国約80の企業・団体が研究開発に従事。ワクチン実用化には通常数年かかるとされるが、事態の緊急性から各国政府は巨額予算を投じて開発を急ぐ。
 英国ではオックスフォード大とインペリアル・カレッジ・ロンドンが中心的に開発を担い、政府は両大支援で計約1億3100万ポンド(約173億円)の資金を投じている。このうちオックスフォード大が開発中のワクチンは臨床試験の段階で、サルを使った実験では一定の効果が得られ、現在は約1100人のボランティアを対象に治験が進行中だ。
 同大は英製薬大手アストラゼネカとワクチンの製造・供給で連携。アストラゼネカは21日の声明で、同社が少なくとも4億本分のワクチン製造を受注し、開発に成功した場合は9月に供給を開始すると明らかにした。うち1億本分は英国が確保。英政府とは別に同社に巨額の資金提供を行っている米国にも少なくとも3億本分が供給される見通しだが、同社は「公正な分配」に向けて国際機関と連携すると強調している。
 ただ、ワクチン開発には未知の部分が多く、オックスフォード大の研究についても「成功の保証はない」(シャーマ民間企業相)状態。有効なワクチンは何年かかってもつくれない可能性さえ指摘される。仮に実用化に至ったとしても、ワクチンを誰に優先的に接種させるか、普及のための供給体制をどうするかなど、解決すべき課題は山積みだ。 (C)時事通信社