【ニューヨーク時事】新型コロナウイルス感染の中心地となった米ニューヨークのマウントサイナイ医科大の医療従事者が作成した治療ガイドライン(指針)が、東日本大震災の支援の一環として始まった交流活動をきっかけに、福島県立医科大(福島市)に送られ、感染者治療に生かされている。
 治療指針を送ったのは、マウントサイナイ医科大病院で新型コロナ感染者の治療に当たっている柳澤貴裕教授(52)。米国日本人医師会長も務める柳澤教授は、東日本大震災直後から被災地での医療活動を支援。心のケアと身体のケアを統合した総合的災害医療を推進し、震災被災者のほか米同時テロ遺族への支援活動や、福島医大との学生交流も行ってきた。
 多くの病気では、治療マニュアルが整備されているが、未知のウイルスである新型コロナについては、世界中の医療従事者が手探りの治療を余儀なくされてきた。
 3月から感染者が爆発的に増えたマウントサイナイ医科大病院では、1万人以上の治療経験に基づき、症状に応じた薬品の投与量など、詳細な治療選択肢を網羅した指針を作成。血栓治療についても、抗凝固薬の投与量の判断の目安となるアルゴリズム表や、陽性患者の隔離、退院した患者の治療の注意点を記したマニュアルも作り、福島医大などに送った。
 福島医大では、これらを日本語に翻訳し情報共有を図っている。同大の山下俊一国際交流センター長は「ニューヨークと日本の患者数は大きく異なり、個別の対応も違うが、重症者を受け入れる仕組みづくりに非常に役立った」と高く評価。「柳澤先生は震災直後から福島に支援の手を差し伸べてくれた。一貫した被災者支援が、コロナ治療指針共有にもつながり、大変感謝している」と述べた。 (C)時事通信社