緊急事態宣言が全面解除されるのを前に、東京都内では休業を続けていた店が営業再開に向け準備を進めた。久しぶりに客を迎えられることに喜びの声が上がる一方、「活気が戻るのはまだ先だ」と慎重な意見も聞かれた。
 4月上旬から休業していた渋谷区の焼き鳥居酒屋「山家」では椅子を外に出し、看板を水で洗うなど従業員が27日からの再開に向けた準備に追われていた。店内にはアクリル板やビニールカーテンが設置され、「新しい生活様式」を意識した感染防止策が見られた。
 オーナー代行の牧江裕子さん(69)は「店の前の人通りは徐々に増えているが、緊急事態宣言が解除されても客足はすぐには戻らないだろう」と不安げな様子。それでも「決して後ろ向きではない。再開時は笑顔で客を迎えたい」と話した。
 渋谷センター街の薬局「三千里薬品」の店頭には、マスクの他にフェースシールドやゴーグルが並ぶ。「フェースシールドはこの10日間で1000枚ほど売れた」と話す店長の飯高宗久さん(45)は「人出は先週より2割ほど増えた気がするが、密集しやすい都心の繁華街が活気を取り戻すには時間がかかるだろう」と指摘した。
 大衆居酒屋が多く立ち並ぶ北区赤羽。朝から営業する立ち飲み店は夕方には約30人の客でいっぱいで、入店時は従業員が客の額に体温計を当てていた。ほぼ毎日来るという20代後半の女性会社員は「仕事が遅いと閉まっている日もあったが、あしたからは来られそう。ようやく赤羽らしさが戻ってきた」とうれしそうに話し、マスクをずらしてレモンサワーを飲み干した。
 午後7時を過ぎると、閉店準備をする飲食店が目立ち始めた。中には営業を続ける店もあり、客引きの男性は「うちは10時半まで開いていますよ」と4人組のグループに声を掛けていた。 (C)時事通信社