新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が全国で解除されたものの、専門家らは今後の国内再流行を確実視している。ワクチン実用化の時期は見通せず、承認が進む治療薬も強い副作用の恐れが指摘される。保健所機能の強化や病床の拡充など、再流行に向けた課題は山積している。
 厚生労働省は7日、米企業が開発した「レムデシビル」を申請の3日後に特例承認したが、日本への供給量は限られており、投与は重症者が対象となる。このため政府は、富士フイルム富山化学が開発し、軽症者に投与する「アビガン」の薬事承認を急いでいる。
 しかし、同薬は動物実験で胎児への影響が確認されており、妊婦には使えない。厚労省幹部は「効くからどんどん投与するという薬ではない。催奇性があり、患者の次の世代に影響が出かねない」と話す。
 ワクチンについては、国内企業の治験が7月に始まるとの見通しもある。ただ安全性などの確認には時間がかかり、「接種開始のめどは全く立たない」(別の同省幹部)のが現状だ。
 感染の有無を高精度に調べるPCR検査は、政府目標の1日2万件の検査能力は達成されたものの、欧米諸国や韓国に比べると圧倒的に少ない。短時間で検査できる抗原検査キットも承認されたが、精度が低く陰性の判断にはPCRの併用が必要で、大幅な状況改善までは期待できない。
 検査能力が拡大されても、患者の窓口となる保健所の人員不足などから、感染拡大のピークだった4月上~中旬でも実際の検査件数は1万件以下にとどまった。統廃合の結果、保健所設置数は1990年代からほぼ半減しており、専門職員を短期間で養成するのは容易ではない。
 医療体制の拡充も急がれるが、政府が目標とする新型コロナ用病床の「5万床」確保は、達成率が4割にも届いていない。
 専門家が強く警戒するのが、新型コロナの冬季の再流行だ。インフルエンザの流行と重なると、医療機関の負担はさらに厳しくなる。発熱した多数のインフル患者がコロナ疑い例として検査を受ければ、病院や保健所の機能がパンクする恐れもある。政府専門家会議のメンバーの一人は「冬が主戦場になり得る」と警告している。 (C)時事通信社